本記事では、”日本ボイラー協会”の参考書を使って、特級ボイラー技士を取得するための具体的な方法をまとめています。
筆者は実際にこの方法で特級ボイラー技士を一発で獲得しました。
調べてもなかなか情報が出てこない特級ボイラー技士の試験勉強方法に迷っている方のお手伝いになれば嬉しいです。
特級ボイラー技士の活躍の場は多く、主として大規模な工場など熱源のあるところにはなくてはならない資格です。
また、カーボンニュートラルを考える上で、ボイラーの知識があると有利に働きます。
原料が石炭・石油、LNG、水素・アンモニア、バイオマスであったとしても、火力発電設備はボイラーで蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回転させて発電するためです。
※発電設備においては、特級ボイラー技士の資格ではなくボイラータービン主任技術者の資格が必要です。
今回はボイラー技士の中で最上級の資格である”特級ボイラー技士”の勉強方法を紹介しますが、二級ボイラー技士でも十分な知識は得られます。
たとえ、資格取得をしなかったとしても勉強することに意味はあると思います。
特級ボイラー技士 試験概要
まずは、特級ボイラー技士の試験概要について、説明します。
※詳細は、【公益財団法人 安全衛生技術協会HP】をご確認願います。
受験資格
一級ボイラー技士免許を受けた者、2年以上の実地修習を経たもの 等といった、受験するためにそこそこ高いハードルがあります。
試験科目・試験時間
4科目を各科目1時間の合計4時間の試験です。
試験科目 | 出題数(配点) | 試験時間 | (時間) |
---|---|---|---|
ボイラーの構造に関する知識 | 6問(100点) | 10:00-11:00 | ( 1時間) |
ボイラーの取扱いに関する知識 | 6問(100点) | 11:30-12:30 | ( 1時間) |
燃料及び燃焼に関する知識 | 6問(100点) | 13:40-14:40 | ( 1時間) |
関係法令 | 6問(100点) | 15:10-16:10 | ( 1時間) |
(計400点) | (計4時間) |
合格基準
科目ごとの得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であることです。
表に、各問の解答方法と配点を示します。
問1 | 計算問題・記述式 | 20点 |
問2 | 用語等の説明・記述式 | 20点 |
問3 | 穴埋め・記述式 | 30点 |
問4 | 5つの選択肢(2つの正答・誤答の組み合わせ)から選択 | 10点 |
問5 | 5つの選択肢(2つの正答・誤答の組み合わせ)から選択 | 10点 |
問6 | 5つの選択肢(2つの正答・誤答の組み合わせ)から選択 ※令和3年は、2つの正答・誤答を記入 | 10点 |
合計 | 100点 |
私のイメージでは、
問1:10/20点、問2:10/20点、問3:20/30点、問4~620/30点
が60/100点獲得をしやすいと思います。
また、科目が60点以上で科目合格となります。
科目合格していると2年後の試験まで科目免除になります。
試験日程
毎年、10月末の平日に、年に1度実施されます。
次回は、令和6年10月24日(木) です。
(昨年は、令和5年10月26日(木)でした。)
(一昨年は、令和4年10月27日(木)でした。)
平日なので、会社を休む必要があります。
試験会場
試験会場は、地域ごとに7会場です。
特級ボイラー技士 難易度と取得に必要な勉強時間
合格率・難易度、必要な勉強時間を見ていきましょう。
合格率・難易度
令和4年度の結果では、受験者:466人、合格者:112人(合格率:24.0%) ←New
令和3年度の結果では、受験者:466人、合格者: 98人(合格率:21.0%)
令和2年度の結果では、受験者:430人、合格者:125人(合格率:29.1%)です。
先ほどお伝えしたように、受験資格でそこそこのハードルがあるため受験者が絞られ、その絞られた人の中で合格率:20~30%となっています。
難易度としてはそこそこ高く、完全記述式だという点からエネルギー管理士(熱)よりもう少し難しい程度だと感じています。
他のサイトなども見ると、
特級ボイラー技士 = エネルギー管理士(熱) = 高圧ガス製造保安責任者甲種機械
といった難易度を示しているものが多いです。
これまで学んできた内容にもよりますが、エネ管や高圧ガス甲機より若干難しい程度の難易度です。
必要な勉強時間
私の場合は、エネルギー管理士(熱)を取得済で、ボイラーに携わる業務経験(効率計算を含む運用改善検討)もありました。
そんなバックグラウンドがありつつの勉強時間となっております。
結論から言うと、必要な勉強時間は108時間程度です。
詳細は、勉強方法とともにご説明します。
特級ボイラー技士 勉強のために必要な書籍
勉強のために必要な書籍として、ボイラー協会が発行している5つ教科書+二級ボイラー技士の参考書を購入します。
一般に販売されているものは一級までですので、特級はボイラー協会のものに限定されます。
特級ボイラーの書籍はネットで簡単に購入可能です。
教科書
1.ボイラーの構造に関する知識
ボイラーの構造
2019年7月第4版発行
208ページ
2.ボイラーの取扱いに関する知識
ボイラーの取扱い
2019年7月第4版発行
226ページ
3.燃料および燃焼に関する知識
燃料および燃焼
2019年7月第4版発行
179ページ
4.関連法令
ボイラー及び圧力容器安全規則
2019年3月改訂第12版発行
237ページ
ボイラー構造規格の解説 改訂第2版
2021年9月1日発行
230ページ
加えておススメなのが、二級ボイラー技士の参考書です。
こちらも発行は、日本ボイラー協会なので内容は間違いありません。
二級の参考書はAmazonや楽天で一般販売されているので、サイトを使用してポイントを獲得することが可能です。
5.二級ボイラー技士の参考書
(新版)最短合格!! 2級ボイラー技士試験
2021年7月第1版第5刷
405ページ
特級を取りたいのに二級? と思われる方もいるかと思います。
特級ボイラー技士の教科書は文字が多くイメージがなかなか湧きません。
そんな時に、ボイラー協会公式の2級試験問題の解説本があると理解しやすく、頭にすっと入ってきます。
過去問
そして、過去問を購入します。
過去問は2014年以降は毎年一冊発行されています。
それをすべて買うと高額になってしますので、
私のお勧めは10年分の過去問+年毎1冊になっている過去問を3つ購入することです。
6.過去問
特級ボイラー技士試験問題及び解答集
(平成16年~平成25年)
平成26年6月発行
231ページ
平成27年度特級ボイラー技士試験公表問題・解答・解説
平成28年6月発行
111ページ
私の場合は、平成27,28,29年度のものを購入しました。
購入する年度はいつのものでも良いです。
公益財団法人 安全衛生技術協会のHPに直近2年分の過去問が公表されていますので、それを避けて購入することがおススメです。
特級ボイラー技士 試験勉強方法 4ステップ
教科書・参考書と過去問を揃えたら勉強をしていきましょう。
結論から言いますと、勉強方法はひたすら過去問を解きます。
もう少し具体的に説明します。
ステップ1. 年毎1冊になっている過去問3年分 を解く
年毎の過去問を3年分解いてみましょう。
特級ボイラー技士の試験の出題形式の理解と、
5つ買った教科書のどこから出題されているのかを把握することです。
問題を解く時間は気にする必要はなく、年毎の過去問は丁寧な解説がありますのでしっかり読み込みましょう。
この内容の所要時間は、 1科目の試験時間:1時間に対して解説確認までを含めて2.0時間程度かかると思います。
そのため、2.0時間/科目 × 4科目/年 × 3年 = 24時間 は必要です。
出題箇所は、教科書にマーキングしていきます。
年毎の過去問は教科書のどこから出題されているか記載がありますので、すぐに見つけられます。
ここで、年毎に異なる色の付箋を使って出題頻度の高い箇所を特定するようにします。
ステップ2. 10年分の過去問 を解く
10年分の過去問を解いてみましょう。
出題箇所を抜けもれなく網羅することです。
問題を解く時間は気にする必要はなく、どんどん解きましょう。
この内容の所要時間は、1科目の試験時間+確認時間:1.5時間程度と想定します。
そのため、1.5時間/科目 × 4科目/年 × 10年 = 60時間 は必要です。
先ほどと同様に教科書にマーキングと付箋をつけていきましょう。
10年分過去問は解説がほとんどなく、教科書のどこに記載があるのか探すのに手こずります。
その為、先に3年分の過去問をやってることで大まかな位置は確認できているはずですので、効率的に記載個所を見つけることができます。
ステップ3. 教科書の最終確認
教科書に付箋をつけた頻出内容を読みます。
内容のイメージがつかない箇所は、二級ボイラー技士のイラスト万点の参考書を活用しましょう。
頻出内容の知識定着です。
3時間/科目 × 4科目 =12時間程度かけて読み込み、これで完成です。
教科書に付箋をつけた頻出内容を読みます。
ステップ4. 公表されている直近2年分の問題 を解く
最後に直近の過去問を解いて、試験の時間感覚を確認しましょう。
直近2年分の過去問は、公益財団法人 安全衛生技術協会のHPから正答を含めて無料でダウンロード可能です。
試験の時間感覚を確認することです。
問題を解く時間をきっちり測り、問題を解き終わるのか、各問題にどれだけの時間をかけられるのかを確認しましょう。
この内容の所要時間は、 1科目の試験時間+確認時間:1.5時間程度と想定します。
そのため、1.5時間/科目 × 4科目/年 ×2年 = 12時間 は必要です。
こちらはステップ1,2と同様に教科書にマーキングと付箋をつけていきましょう。
これで直近の出題を含めて、頻出内容が、付箋の多い箇所から確認できます。
公表試験問題(労働安全衛生法に基づく免許試験)はこちらで公開されています。
※22年4月に、令和3年度分(昨年度)の問題が公開されました。
https://www.exam.or.jp/exmn/LCkohyo.htm
まとめ
必要な勉強時間を整理しておきます。
ステップ1 | 24時間 |
ステップ2 | 60時間 |
ステップ3 | 12時間 |
ステップ4 | 12時間 |
合 計 | 108時間 |
ここまで勉強して、時間がまだある場合や合格基準まで達していない場合には、
ステップ3の教科書の最終確認をするのが良いです。
試験は紛らわしい選択肢となっていますので、「間違いなくこれだ!」と言えるくらいまで読み込むと安心です。
この勉強方法で3ヵ月で1発合格しました。
私の場合は、平日:1時間/日+休日:2時間/日(9時間/週)を3ヵ月で108時間程度の勉強をしました。
平日の勉強時間は生活スタイルによって変更してもらえればと思います。
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