
自動車は電気自動車(EV)シフトが急速に進んでいます。
今回は、素材メーカーへのニーズの変化と事業機会をチェックしていきましょう。
この記事を読むことで、
✓ 自動車の電気自動車(EV)シフト がわかる
✓ 素材メーカーへのニーズの変化 がわかる
✓ 素材メーカーの事業機会 がわかる
自動車の電気自動車(EV)シフト

まずは自動車の電気自動車(EV)シフトを確認してきましょう。
カーボンニュートラル宣言に端を発した急激なEVシフトによって、自動車の変化が生じています。
自動車の変化・動向を象徴する『CASE』というキーワードがあり、
E(Electric):電動化(電気自動車)が、EVシフトになります。
2021年に世界の電気自動車(EV)の新車販売台数が約460万台と、
2020年の2.2倍に増えていることからEVシフトが加速していることがわかります。

詳細はこちらの記事にまとめています。
素材メーカーへのニーズの変化

ここからの内容は、
合田索人さん執筆の「カーボンニュートラル宣言とEVシフトが素材産業にもたらす変化」知的資産創造/2022年2月号
の内容です。
EVシフトにより生じる変化とニーズの変化を見ていきましょう。
動力源がガソリン・軽油といった化石燃料を燃焼されるエンジンから、
電気を動力とするモーターに変わります。
エンジンがモーターに変わることで、エンジンに使用されていた大量の部品(その周辺部品を含む)が不要になります。
一方で、大型のバッテリーやインバーターが必要になります。

EVシフトに際しては、
航続距離を伸ばすための軽量化や高圧化、それに伴う耐電圧・耐熱性の向上、
電池の炎上に備えた難燃性が求められています。
更に、カーボンニュートラルな素材や、リサイクル性が高い素材が求められています。

5G通信対応用のアンテナ素材、
自動運転では、周囲の状況を把握するセンサーの性能向上や
高温時の動作安定性の確保のための耐熱性や放熱性、
および自動運転時の静音性や快適性の向上を実現する素材が求められています。

多人数が使用する車内の衛生性の確保や、
メンテナンスコストの低下が必要となります。

素材メーカーの事業機会

ここからは、EVシフトによる主となる
バッテリー、構造部材に関するメーカの事業機会についてです。
EVにとってバッテリーは車体価格の2割前後を占めます。
車体価格が400万円であれば、80万円程度がバッテリー価格ということになります。
航続距離を伸ばすための高容量化だけでなく、低価格化、安全性の向上、寿命の増加、充電時間の減少といった幅広い改良ニーズが強く存在しています。
現在、車載用蓄電池として主に使用されているリチウムイオンバッテリーは、主に正極、負極、セパレーター、電解液(質)で構成されています。
これらの素材を各社が改良することで、高性能化が図ることができます。

車載用Liイオン電池の内部構造と原理
https://global.toyota/jp/download/14331137/
中国勢のコストダウンに対して、日本の材料メーカーは、性能向上によって差別化する動きを見せています。
その方法として、メーカー間の連携の動きがあります。

自動車の構造部材として、強度とコストのバランスから、主に鉄が使用されてきましたが、
近年は鉄の強度を上げて軽量するだけでなく、アルミニウムなどの非鉄金属を用いた合金や、
炭素繊維を中心とした高強度繊維を用いた繊維強化樹脂といった
新しい素材が使用されるようになってきています。
鉄鋼は、超高度鋼板(引張強度980MPa以上の鋼板)を用いて構造骨格部品の単位重量・体積当たりの強度を向上させることで軽量化を進化させてきました。
一方で、潰れることでエネルギーを吸収させたいフロントサイドメンバーやリアサイドメンバーには超高度鋼板の適用は困難でした。
これに対して、JFEスチールは樹脂メーカーの技術と融合して、新しい構造を発表しています。

車の骨格部位(フレーム)の名称。初心者にもわかりやすく解説!
https://ginnotamagoblog.com/car-body-frames-name/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=car-body-frames-name

カーボンニュートラル宣言とEVシフトが素材産業にもたらす変化
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/chitekishisan/2022/02/cs20220203.pdf?la=ja-JP&hash=0E8C2A36DCF056AF85A7B96766947300A629584D

今後も素材メーカーは業界構造の変化を機に、
各メーカーが連携して力を発揮する必要があると思います。
引き続き動向をチェックしてきましょう。
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