【解説】水素サプライチェーン構築へ(有機ケミカルハイドライド法)

カーボンニュートラル
考える人
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カーボンニュートラルに向けて水素供給って、具体的にどうなっているの?

ニュー太郎
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今回は水素サプライチェーン構築に向けて、千代田化工建設(株)殿等で取り組んでいる有機ケミカルハイドライド法を解説します。

この記事を読むことで、

  カーボンニュートラルへの寄与がわかる

  ✓ 有機ケミカルハイドライド法とは何かがわかる

  有機ケミカルハイドライド法(SPERA水素システム)の特徴がわかる

  ✓ 水素社会構築技術開発事業今後の展開がわかる

カーボンニュートラルへの寄与

考える人
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この取り組みは、カーボンニュートラルにどんな関係があるの?

ニュー太郎
ニュー太郎

まずは、 水素社会構築技術開発事業の位置づけ・必要性を確認しましょう。

事業の背景と目的

有機ケミカルハイドライド法の特徴

有機ケミカルハイドライド法とは何かについては、SPERA水素と共に後述します。

ニュー太郎
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この有機ケミカルハイドライド法により、水素の長距離大量輸送・長期間貯槽を可能として、水素の利用拡大を促進することができます。


 


有機ケミカルハイドライド法ってなに?

水素に関する背景知識

本題の有機ケミカルハイドライド法を説明する前に、背景知識を簡単にご紹介します。


まず初めに、水素は通常のガスのままでは非常に輸送効率が悪いという欠点があります。

そこで、水素の輸送について、さまざなま方法が検討されています。

各企業が取り組んでいる内容については、 過去の記事で紹介しています。


また、水素にはグリーン・ブルー・グレー水素と言われている色があります。

色分けは水素の製造方法の違いによるものです。

カーボンニュートラルには、グリーン水素が特に重要となっていきますが、現時点ではブルー水素を海外から持ってくる方法が実証段階になっています。


有機ケミカルハイドライド法

ここから、本題である有機ケミカルハイドライド法についてです。

既に実証段階であるSPERA水素の説明と共に、有機ケミカルハイドライド法を説明します。

SPERA水素とは、千代田化工建設(株)が、水素を貯蔵・輸送するためのメチルシクロヘキサン(MCH)を商標登録したものです。

水素キャリアとして、有機化合物の液体を利用する有機ケミカルハイドライド(OCH)法を利用します。

有機化合物とは?

分子中に炭素をふくみ、炭素が原子結合の中心となっている化合物の総称

水素をトルエン(CH3)と水素化反応させ、メチルシクロヘキサン(MCH)を生成させることにより、分子内に水素を取り組んだ液体に転換します。

生成したMCHを貯蔵・輸送します。

利用先では、脱水素反応(水素発生反応)により水素を生成させます。

水素を取り出した後のトルエンは水素キャリアとして回収、繰り返し利用します。

このように、MCHやトルエンを利用して、常温・常圧の条件下の液体状態で水素を貯蔵・輸送できるシステムです。


有機ケミカルハイドライド法(SPERA水素システム)の特徴

ニュー太郎
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有機ケミカルハイドライド法の特徴については、千代田化工建設殿の資料より説明します。

1.常温・常圧で液体(ガソリンと同じ扱いができる)

 1.1 貯蔵・輸送におけるハンドリングが容易

  MCHとトルエンはペンキや修正ペンにも使用される素手で触れても問題なく、腐食性もない安全な液体

 1.2 石油流通の既設インフラの活用が可能

  古くから工業用剤として大規模に利用されており、既存インフラを最大限に転活用できる

 1.3 水素貯蔵・輸送のリスクを石製製品並みに低減

  水素は爆発性の気体であり、他の方法の貯蔵輸送でも潜在的なリスク(例えば、アンモニアに変換する場合の毒性)が高い物質

  既設の化学燃料と同等の取り扱いができ、安全性も同等で事故に対する未知のリスクがほとんどない

2.化学的に安定

 2.1 長期間の貯蔵や長距離の輸送に関してロスが極めて少ない

  MCHとトルエンは化学的に非常に安定しているため、長期間・大規模にタンクに貯蔵する場合にもロスが極めて少なく、エネルギー消費もほとんどない

3.確立・実証された技術

 3.1 早期の商用化が可能

  2020年に国際間水素サプライチェーンによる実証を行い、輸送工程を含めた全行程の大規模輸送が国際間で実証済


水素社会構築技術開発事業の今後の展開

ニュー太郎
ニュー太郎

最後に、今後の展開を見ていきましょう。

水素社会構築技術開発事業の資料を引用しています。

水素社会構築技術開発事業における「実用化・事業化」の考え方

実用化・事業化の目的

実用化・事業化に向けた具体的な取り組み

ニュー太郎
ニュー太郎

水素利用の為にさまざなな輸送方法が検討されています。

今回は、有機ケミカルハイドライド法(SPERA水素システム)についてご紹介しましたが、ほかの方法も優位性があり、使用用途・場所によって方法が決定されていくと思います。

アンモニアなども含めて今後も動向を追っていきましょう!


「水素社会構築技術開発事業/大規模水素エネルギー利用技術開発/有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来の水素サプライチェーン実証」(評価ウィーン)

https://www.nedo.go.jp/content/100895062.pdf

CHIYODAテクニカル·レビュー(2021年2月) No.5 “SPERA 水素”システムによる国際間水素サプライチェーン実証

https://www.chiyodacorp.com/service/2021_05.pdf

SPERA水素 千代田の水素サプライチェーン事業

https://www.chiyodacorp.com/jp/service/spera-hydrogen/innovations/

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