【わかりやすく徹底解説】「電力会社のカルテル」とは?(史上最高額;1,000億円の課徴金)Part.1

社会問題
ニュー太郎
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今回は「電力会社のカルテル問題」に関する内容を

わかりやすく解説します。

その第1弾であり、概要を見ていきます。


 

関西電力、九州電力、中国電力、中部電力がカルテルを結んでいたという問題を知っていますか?

この問題により、史上最高額である1,000億円の課徴金が命じられています。

課徴金総額1,000億円について、4社の内訳は大きく明暗が分かれています。

明暗を分けた要因の一つが、「課徴金免除制度」です。

どのような制度なのか、どういう場合に適用されるのかを分かりやすく解説します。

電力会社は燃料価格の高騰・円安により収益が厳しい状況ですが、この課徴金により、更に追い打ちをかける損失を計上する必要があります。

電力会社の動向を確認し、史上最高額の課徴金によって、電力会社だけでなく日本がどのように動いていくかは、今後の日本企業の収益を予測することに繋がります。

電力会社がどのような今後の収益改善策を講じるかを学んでいきましょう!


この記事を読むことで、

  • 電力会社のカルテル問題 がわかる
  • 課徴金免除制度 がわかる
  • 史上最高額の課徴金 がわかる

電力会社のカルテル問題とは?

ニュー太郎
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まずは、この問題の概要を解説します。

問題
  • 事業者向けの電力の販売をめぐり大手電力会社がカルテルを結んでいた
  • 大手電力会社とは、中国電力、中部電力とその販売子会社(中部電力ミライズ)、九州電力
    • 関西電力は、調査が始まる前に違反行為を最初に自主申告したため、「課徴金減免制度」により、課徴金は免除される
  • 公正取引委員会が総額で1000億円余りの課徴金を命じる方針を固めた
    • (課徴金としては、過去最高額)
  • カルテルが結ばれた背景にあるとみられるのが、電力小売りの自由化
  • 対象となったのは、大規模な工場やオフィスビル向けの「特別高圧」、中小規模の工場や事業所向けの「高圧」の電力

カルテル

 英語では、carte

 ドイツ語では、Kartell

 複数の企業が、互いの競争を避けて、利益増大を図るための協定を結ぶこと

NHK 大手電力会社に1000億円余の課徴金の方針 カルテル容疑 公取委

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221201/k10013909881000.html


課徴金免除制度

ニュー太郎
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関西電力の課徴金全額免除について、

その制度を解説します。

課徴金免除制度について

独占禁止法

独占禁止法
  • 独占禁止法の正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」
  • 目的は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすること
  • 独占禁止法に違反した場合
    1. その違反行為を除くために必要な措置「排除措置命令」を命じる
    2. 私的独占、カルテル及び一定の不公正な取引方法については、違反事業者に対して、課徴金が課される
    3. カルテル、私的独占、不公正な取引方法を行った企業に対して、被害者は損害賠償の請求ができる(この場合、企業は故意・過失の有無を問わず責任を免れることができない;無過失損害賠償責任)
    4. カルテル、私的独占などを行った企業や業界団体の役員に対しては、罰則が定められている

課徴金

課徴金
  • 課徴金とは、カルテル入札談合等の違反行為防止という行政目的を達成するため、行政庁が違反事業者等に対して課す金銭的不利益のこと
  • 公正取引委員会は、事業者又は事業者団体が課徴金の対象となる独占禁止法違反行為を行っていた場合、当該違反事業者等に対して、課徴金を国庫に納付することを命じる
    • これを「課徴金納付命令」と呼ぶ

カルテル

本来は各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを、
複数の事業者が共同して取り決めてしまうこと

入札談合

国や地方公共団体などの公共行事や物品の公共調達に関する入札の際、
入札に参加する事業者が事前に共同して、受注事業者や受注金額を決めてしまう行為のこと(競争阻害)


課徴金免除制度

課徴金免除制度
  • 事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度
  • 事業者自らがその違反内容を報告し、更に資料を提出することにより、カルテル・入札談合の発見を容易化し、事件の真相解明を効率的かつ効果的に行うことにより、競争秩序を早期に回復すること目的
  • 減免申請の順位に応じた減免率に、事業者の協力が事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率を加えた減免率が適用される

公正取引員会 独占禁止法

https://www.jftc.go.jp/dk/index.html

課徴金免除制度の事例

課徴金免除制度事例
  • 2006年に導入されてから、22年3月までに適用は延べ401社に上る
  • 過去にカルテルを認定された企業の経営陣が、制度を利用しなかったとして株主代表訴訟を起こされ、役員らが5億円超を会社に支払うことで和解した例もある

日本経済新聞 電力カルテル「申告制」の威力 処分減免、調査協力も評価

https://www.nikkei.com/nkd/theme/1182/news/?DisplayType=2&ng=DGKKZO6688304016122022EA1000

今回の適用減免

適用減免
  • 関西電力;違反内容を公正取引委員会に自主的に報告したことにより、全額免除
  • 九州電力;調査開始後に申請を行い、公正取引委員会に全面協力したことで、30%の減免が適用されていると見られている
  • 中国電力;調査開始後も申請しなかったことで、減免なし
  • 中部電力;調査開始後も申請しなかったことで、減免なし

日本経済新聞 電力カルテル「申告制」の威力 処分減免、調査協力も評価

https://www.nikkei.com/nkd/theme/1182/news/?DisplayType=2&ng=DGKKZO6688304016122022EA1000

史上最高額の課徴金

ニュー太郎
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この問題で課された課徴金を見ていきます。

日本経済新聞 電力カルテル「申告制」の威力 処分減免、調査協力も評価

https://www.nikkei.com/nkd/theme/1182/news/?DisplayType=2&ng=DGKKZO6688304016122022EA1000

まとめ

ニュー太郎
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最後に、本記事のまとめです。

問題
  • 関西電力、九州電力、中国電力、中部電力がカルテルを結んでいた
  • カルテルが結ばれた背景にあるとみられるのが、電力小売りの自由化
  • 対象となったのは、大規模な工場やオフィスビル向けの「特別高圧」、中小規模の工場や事業所向けの「高圧」の電力
課徴金免除制度
  • 公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることを目的とした独占禁止法に違反した場合
    • 私的独占、カルテル及び一定の不公正な取引方法については、違反事業者に対して、課徴金が課される
  • 課徴金とは、カルテル・入札談合等の違反行為防止という行政目的を達成するため、行政庁が違反事業者等に対して課す金銭的不利益のこと
  • 課徴金に対して、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度が課徴金免除制度
  • 課徴金減免制度は、2006年に導入されてから、22年3月までに適用は延べ401社に上る
今回の適用減免
  • 関西電力;違反内容を公正取引委員会に自主的に報告したことにより、全額免除
  • 九州電力;調査開始後に申請を行い、公正取引委員会に全面協力したことで、30%の減免が適用されていると見られている
  • 中国電力;調査開始後も申請しなかったことで、減免なし
  • 中部電力;調査開始後も申請しなかったことで、減免なし

今回の課徴金
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今回の問題の背景に、「電力小売りの自由化」があるといわれています。

この内容については、Part2で解説します!


ニュー太郎
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公正かつ自由な競争を行わなければいけません。

電力会社の動向からは目が離せません!

ご覧いただき、ありがとうございました。

以上、ニュー太郎でした。



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