【解説】カーボンニュートラルとは?[まずはここから]

カーボンニュートラル

環境省の脱炭素ポータブルと 温室効果ガス排出・吸収量算定結果 を参考にして説明します。


カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることです。

排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。

※人為的なもの

カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減 並びに 吸収作用の保全及び強化をする必要があります。


ちなみに、言葉の定義を確認すると、平成十年法律第百十七号地球温暖化対策の推進に関する法律 において

(定義)第二条

「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気及び海水の温度が追加的に上昇する現象をいう。

「地球温暖化対策」とは、温室効果ガスの排出の抑制並びに吸収作用の保全及び強化(以下「温室効果ガスの排出の抑制等」という。)その他の国際的に協力して地球温暖化の防止を図るための施策をいう。

「温室効果ガス」とは、次に掲げる物質をいう。

 二酸化炭素

 メタン

 一酸化二窒素

 ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定めるもの

 パーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの

 六ふっ化硫黄

 三ふっ化窒素

「温室効果ガスの排出」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスを大気中に排出し、放出し若しくは漏出させ、又は他人から供給された電気若しくは熱(燃料又は電気を熱源とするものに限る。)を使用することをいう。

とあります。環境省のカーボンニュートラルの説明でも記載されている通り、人為的なものというのがポイントですね。

あえて人為的と記載があるのは、意味があります。

自然の中でも温室効果ガスの排出と吸収が行われているからです。

メタンの発生として牛のゲップがよく言われたりします。

 


なぜこんなにもカーボンニュートラルが注目されているのか?

地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年にパリ協定が採択され、世界共通の長期目標として、

世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて

・2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標)

・今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること

等を合意しました。
この実現に向けて、世界が取組を進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げているところです。

2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

これにより、各企業もカーボンニュートラルを目指す取り組みを行っているという訳です。


現状の把握

環境省のHPに記載されている年平均気温の推移を見ると、1900年からの100年間で1.26℃上昇しており、2020年までには1.5℃程度上昇したデータがあります。

日本の平均気温の変化:1900年から2020年までの各年ごとの平均気温を、1991年から2020年までの平均気温からの差として示したグラフ(※出展:気象庁ホームページ)
画像を拡大表示

平均気温ですからね。この上昇は驚きです。

1990年から2019年までの29年間でも、0.4℃上昇したことになります。

但し、1990年が高かった為、そこからのピークで見れば大きくは変わっていませんね。

人間が気温の測定結果を記録するようになったのは、地球の歴史で考えればほんのごくわずかな期間であり、地球の歴史で考えれば今はある周期性をもった気温上昇の最中だという考えも一部ではあります。

しかし、直近数百年の気温上昇を見るとそれでは説明ができない。

すなわち、人間の活動(=温室効果ガスの排出量増加)により気温上昇しているのは疑う余地がないということです。


次に、温室効果ガスの排出量について、環境省が開示しており、2019年度(令和元年度)温室効果ガス排出量を見てみます。

2019年度は1990年以最少の温室効果ガス排出量になっています。

新型コロナウイルスの影響で生産量が減少したとはいえ、日本では2013年をピークに確実に温室効果ガスの削減は進んでいることがわかります。


次は、温室効果ガス毎に見てみます。

温室効果ガス排出量中の91%が二酸化炭素(CO2)であり、大部分を占めていることがわかります。

このことから、カーボンニュートラル=CO2削減 となっている訳です。

このCO2の比率は1990年度と2019年度でほとんど変わっていません。


最後に分野別に二酸化炭素(CO2)排出量を見てみましょう。

やはり、産業部門(工場等)は多いですね。これはイメージ通りかと思います。

次に多いのが、運輸部門(自動車等)であり、水素自動車や電気自動車が話題になっていることからも想像通りですね。


環境省 脱炭素ポータブル

https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

環境省 温室効果ガス排出・吸収量算定結果

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg-mrv/index.html

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