
これまでもアンモニア混焼・専焼については解説してきましたが、
最新の状況をチェックしてきましょう。
この記事を読むことで、
✓ アンモニア混焼・専焼について現在の取り組み がわかる
✓ 三菱重工業の取り組み がわかる
✓ IHIの取り組み がわかる
アンモニア混焼・専焼について現在の取り組み

アンモニア混焼・専焼については進捗がありますか?

資源エネルギー庁 の資料から、全般的な取り組みを見ていきましょう。

2022年1月7日に「燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」実施体制が決定しています。
その時の記事もご覧ください。
令和4年3月に
水素政策小委員会・アンモニア等脱炭素燃料政策小委員会の新設及び合同会議の開催
が公表されました。
第1回の開催は、2022年3月29日でした。

この会議の内容から見ていきましょう。


アンモニアのコストは、現状20円程度/Nm3-H2程度です。
これを10円代後半/Nm3-H2とすることを目標にしています。
また、供給量は現在の108万t/年(原料用)から、
2030年に300万t/年、
2050年に3,000万t/年とすることが目標となっています。



今回は一番右に示されている、混焼・専焼について、
三菱重工とIHIの取り組みを見ていきましょう。
総合資源エネルギー調査会 第1回 省エネルギー・新エネルギー分科会 水素政策小委員会/資源・燃料分科会 アンモニア等脱炭素燃料政策小委員会 合同会議
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/suiso_seisaku/001.html
三菱重工業の取り組み

どんな進捗があるのでしょうか?

三菱重工の技報とHPからチェックしてきましょう。


この内容は、「燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」として、2022年1月7日に決まった内容です。
内容は、気体アンモニア混焼率50%以上を実現する技術の開発です。
2028年度までなので、始まったばかりですね。
三菱重工では、ガスタービン発電の燃料としてアンモニアを専焼できる中小型4万 kW 級ガスタービンシステムの開発に着手している。
アンモニアの直接燃焼では、燃料中の窒素が燃焼により酸化することで発生する窒素酸化物(NOx)の課題があり、NOx 排出量を低減する燃焼器の開発と脱硝装置を組み合わせたガスタ
ービンシステムを構築し、実用化を目指している。
過去、このような大出力ガスタービンにアンモニア直接燃焼を適用した例はない。
一方、大型ガスタービンでアンモニアを燃焼させる際は、表1に示す点を考慮する必要がある。

ガスタービンの排熱でアンモニアを水素と窒素に再変換し、開発済みの水素混焼用燃焼器、又は、開発中の水素専焼燃焼器により燃焼させる GTCC システムの検討を進めている。

GTCCとは?
ガスタービンコンバインドサイクルのこと。
ガスタービンを使って発電した後、その排熱を利用して作った蒸気により蒸気タービンを回転させ、もう一度発電することで熱効率がより高くなる。
アンモニア分解にはアンモニア 1mol あたり約 46kJ の熱が必要であるが、投入した熱は、アンモニアが水素になることで、燃料の発熱量の1.14倍の増加として化学再生される。
したがって、アンモニア分解器の下流側に設置するガス処理装置でのエネルギー損失以外には原理的な熱効率低下はない。


システム全体での最適化を含めて、検討が行われています。
三菱重工技報 Vol.58 No.3 (2021) 三菱パワー特集
野勢 正和 他
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/583/583030.pdf
IHIの取り組み

次に、関係する内容をIHIのHPからチェックしてきましょう。


ガスタービンコジェネレーションシステムとは?
燃料を利用してガスタービンで発電し、その際に発生する廃熱も同時に回収して蒸気等で利用するコジェネレーション(熱電併給)システムのこと。

この内容は、「燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」として、2022年1月7日に決まった内容です。
内容は、液体アンモニア専焼(100%)技術の開発です。
2027年度までなので、こちらも始まったばかりですね。
2022年05月17日にプレスリリースされた内容
相生工場(兵庫県相生市)内の小型燃焼試験設備にて、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を抑制した状態でのアンモニア専焼に成功した。
これにより、火力発電用ボイラにおけるアンモニア専焼技術(以下「本技術」)の実用化が大きく前進する。
本技術では、バーナの構造やアンモニアの供給方法を工夫することで、石炭専焼時と同程度にNOxの排出濃度を抑制すると同時に、有毒な未燃アンモニアの発生を抑制するアンモニア専焼に成功した。
今後は、バーナ構造の改善やボイラ性能に与える影響の評価を実施し、2025年の専焼バーナの実証試験を目指す。

2022年03月22日にプレスリリースされた内容
インド民間最大手の発電事業会社Adani Power(アダニ パワー) Ltd.(以下、APL)及び興和株式会社(以下、興和)と3社共同で、
インド国内の石炭火力からのCO₂排出量削減を目指し、
APL所有のAdani Power Mundra(アダニ パワー ムンドラ)石炭火力発電所へのアンモニア混焼の適用の技術及び経済性の検証
を共同で行うMoU(基本合意書)に調印した。
当該発電所における既設石炭焚きボイラへのアンモニア20%混焼の実施を前提とした各種技術検討等を行うとともに、
将来的に専焼まで混焼率を拡大すべく、検討と議論を行っていく。

2022年04月25日にプレスリリースされた内容
インドネシア国営電力会社PLNの100%子会社であるPT Pembangkitan Jawa-Bali (以下,PJB)と共同で、
アンモニアやバイオマス混焼技術の適用、将来的な専焼技術の適用および係る経済性の検証
を行なうMoU(基本合意書)を、経済産業省主催による「アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合(AGGPM)官民フォーラム」において調印した。
そして,PJB所有の Gresik(グレシック)火力発電所などの既設ボイラを対象として、
アンモニアなどのカーボンニュートラル燃料の混焼、将来的な専焼の実施を想定した各種技術検討等を行なう。


インド、インドネシアといった国で
グローバルな環境負荷の低減に貢献を目指していますね。
IHI HP ニュース
https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2022/index.html

今後も定期的に進捗状況をチェックしていこうと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。
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