【解説】FIT(固定価格買取)とFIP(フィードインプレミアム)制度

カーボンニュートラル
考える人
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再生可能エネルギー発電促進に向けて我々もお金を負担しているの?

ニュー太郎
ニュー太郎

我々が収めた税金から国の補助金として使用されていることもありますが、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)として皆さんが支払う電気料金に年間約1万5千円が上乗せされています。

この記事を読むことで、

 ✓ FITとFIP制度の違いがわかる

✓ FIP制度の価格決定方法がわかる

✓ 家庭への影響がわかる


FITとFIP制度

ニュー太郎
ニュー太郎

再生可能エネルギー発電促進の為のFIT制度に加えて、2022年4月からFIP制度がスタートします。

FIT制度

FIT制度とは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed-in Tariff)のことです。

2012年7月に再生可能エネルギーを普及させることを目的に導入され、一般家庭や事業者が再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が買い取ることを国が約束する制度です。

固定価格買取という名前の通り、発電方法や電力量によって定められた期間中は、単価を変えることなく電力会社が買い取ることが義務付けられています。

そんなFIT制度にもいくつかの課題があり、その解決のためにもFIP制度が導入されます。

FIT制度の課題

1.国民が負担する賦課金

 電力会社が再エネ電気を買い取ったコストの一部は、電気料金に上乗せされるかたちで国民が負担しています。

 2021年度の見込みでは総額2.7兆円におよんでいます。

2.電気の需要と供給のバランス

 再エネ発電事業者はいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電気の需要と供給のバランスなど電力市場の状況を踏まえた発電をする意識がありません


FIP制度

FIP制度とは、フィードインプレミアム制度(Feed-in Premium)のことです。

ニュー太郎
ニュー太郎

FITとFIPって紛らわしいですよね。

再エネの導入が進む欧州などでは、すでに取り入れられている制度です。

この制度では、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進します。


 


FIP制度の価格決定方法

プレミアム(補助額)

「基準価格」と「参照価格」の差を、「プレミアム」として再エネ発電事業者がもらいます。

つまり、再エネ発電事業者は、電気を売った価格にプレミアムが上乗せされた合計分を、収入として受け取ることになります。

なお、プレミアムは、参照価格の変動などによって変わってくるため、1カ月ごとに更新されます。

この補助額(プレミアム)も皆さんが負担する再エネ賦課金として電気料金に上乗せされます。

ただし、FIT制度よりは負担が減少する見込みです。


基準価格(FIP価格)

FIP制度でも、FIT制度と同じように「基準価格(FIP価格)」がさだめられます。

この「基準価格」は、再エネ電気が効率的に供給される場合に必要な費用の見込み額をベースに、さまざまな事情を考慮して、あらかじめ設定されるものです。

FIP制度の開始当初は、この基準価格をFIT制度の調達価格と同じ水準にすることとなっています。


参照価格

「参照価格」もさだめられます。

「参照価格」とは、市場取引などによって発電事業者が期待できる収入分のことです。

参照価格は市場価格に連動し、1カ月単位で見直されます。

「参照価格」の決定方法


 ①「卸電力市場」の価格に連動して算定された価格

+②「非化石価値取引市場」の価格に連動して算定された価格

-③バランシングコスト

=参照価格(市場取引などの期待収入)

非化石価値

石油や石炭などの化石燃料を使っていない「非化石電源」で発電された電気が持つ、「環境価値」の一種。

再エネ電気にも、この「非化石価値」がある。

③バランシングコスト

FIP制度では、再エネ発電事業者は発電する再エネ電気の見込みである「計画値」をつくり、実際の「実績値」と一致させることが求められ、これを「バランシング」といいます。

バランシングにあたり、計画値と実績値の差(インバランス)が出た場合には、再エネ発電事業者は、その差を埋めるための費用をはらわなければなりません。これは、FIT制度では、再エネ発電事業者には免除されていたことです。

このように、FIP制度では、再エネ以外のほかの発電事業者と同じようにバランシングをしなければならないため、インバランスにかかる費用に配慮し、その分をプレミアムの一部(バランシングコスト)として手当てすることにしています。

「バランシングコスト」については、経過措置として太陽光・風力発電において2022年度の開始当初はkWhあたり1.0円を交付し、翌年度からは少しずつ金額を減らしていくこととなっています。


家庭への影響

電力会社が再生可能エネルギーを買い取るための費用は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(以下再エネ賦課金)として、電気の使用者が支払う電気料金に含まれています

使用した電力量によって金額は変動しますが、単価は全国一律で、国が1年ごとに算定します。

現時点(2022年2月)では、3.36円/kWhが電気料金に上乗せされています。

再エネ賦課金の価格

直近の再エネ賦課金と、ちょっと古いですが2017年度の全国平均消費電力量から再エネ賦課金の支払額を算出してみます。

2017年度の全国全国平均消費電力量は、4,322kWh/世帯・年です。

地方別世帯当たりの年間電気消費量(2017年度)

支払額の算出結果はこちらです。

1世帯の再エネ賦課金 支払額

4,322kWh/世帯・年 × 3.36円/kWh = 14,522円/世帯・年

ニュー太郎
ニュー太郎

年間で約1万5千円もの金額を負担しているわけです。

皆さんも電力料金の請求書を確認してください。

今後益々高くなることが予測されており、無関心ではいられませんよ!

一緒に学んでいきましょう!!


経済産業省 資源エネルギー庁

再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/fip.html

エバーグリーン・マーケティング株式会社

【2021年度最新版】FIT制度と2022年4月から始まるFIP制度を分かりやすく解説

https://www.egmkt.co.jp/column/corporation/20200803_7.html

環境省

2017年度の家庭のエネルギー事情を知る

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/2017/result3/detail1/index.html

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