
今回は現状の電力・都市ガスのエネルギー単価を比較してみました。
お湯を沸かすなら、ガスを使った方がお得です。
この記事を読むことで、
✓ 現状の電力価格がどのように決まっているかわかる
✓ 現状のガス(都市ガス)価格がどのように決まっているかわかる
✓ 電力とガス(都市ガス)価格を比較した結果がわかる
✓【例題】水1リットルのお湯を作るために必要な金額がわかる
現状のエネルギー単価(電力)

まずは現状使用している電力の単価を見ていきましょう。
皆さんにも毎月連絡されている検針票を見ながら、読んでいただければと思います。

結論から言うと、電力のエネルギー単価は 7.85円/MJ です。
では、詳細を見ていきましょう。
今回は東京電力の料金を参考にしています。
2022年3月の料金としています。
※従量料金の基準単価は、電力単価のテーブルにより決まります。

支払金額は、基本料金(契約内容によって決まる固定料金)と従量料金(使用した電力量に単価をかけた料金)で算出されます。
支払金額(=④=基本+従量料金)を使用量(=③)で割ると、基本+従量単価(=⑤)が算出できます。
基本+従量単価を単位換算すると、エネルギー単価9.25円/MJ(=⑥)が導けます。
単位換算 1kWh = 3,600KJ
今回は、一般的な家庭を想定して40Aの契約としています。
基本料金は契約アンペアによって決まっています。
以下は、東京電力エナジーパートナーで紹介されているものです。


今回は、一般的な家庭を想定して360kW/月の使用量としています。
従量料金は、従量単価(②-1 基準単価 +②-2 再エネ賦課金 + ②-3 燃料調整額 )×使用量で算出されます。
基準価格については、契約している電力会社が今回は東京電力を例としています。
電力使用量により、テーブルの単価を使用します。

再エネ賦課金は、国が定めたものであり、電力会社による差はありません。
2022年4月までは、3.36円/kWhです。

現時点(2022年3月13日)では、2022年5月からの単価は公表されていません。
昨今の状況から、今後も高くなっていくことが予測されます。
再エネ賦課金については、別記事で説明をしています。
燃料費調整額は、発電に用いる燃料の基準価格から上下した分を電力単価に転換されて調整するというものです。
昨今のコモディティー(重油等の燃料)価格上昇の影響は、ここで調整されているということです。

この価格は電力会社の燃料構成(原油、LNG、石炭)によって異なります。
東京電力エナジーパートナーの3月はこちらの1.83円/kWhです。

現状のエネルギー単価(ガス)

次は、ガスの代表として都市ガスを見ていきます。
結論から言うと、都市ガスのエネルギー単価は 4.70円/MJ です。
では、詳細を見ていきましょう。
今回は東京ガスの料金を参考にしています。
2022年3月の料金としています。

電力と同じように、支払金額は、基本料金(契約内容によって決まる固定料金)と従量料金(使用した電力量に単価をかけた料金)で算出されます。
支払金額(=④=基本+従量料金)を使用量(=③)で割ると、基本+従量単価(=⑤)が算出できます。
基本+従量単価を単位換算すると、エネルギー単価4.70円/MJ(=⑥)が導けます。
単位換算

今回は、一般的な家庭を想定して20m3の契約としています。
基本料金は使用量の契約によって決まっています。
以下は、東京ガスで紹介されているものです。

今回は、一般的な家庭を想定して17m3/月の使用量としています。
従量料金は、従量単価(②-1 基準単価 + ②-3 燃料調整額 )×使用量で算出されます。
※電力でかかっていた再エネ賦課金(=②-2)はありません。
基準価格については、契約している電力会社が今回は東京電力を例としています。
一般家庭を想定して、20m3までの166.69円/m3とします。

電力同様に、燃料費調整額は、燃料の基準価格から上下した場合にガス単価に転換されて調整されるものです。
昨今のコモディティー(LNG等の燃料)価格上昇の影響はここで調整されているということです。
この価格は、LNG、LPG(プロパン)の構成によって異なります。
東京ガスの3月はこちらの算出で、21.38円/m3です。

エネルギー単価比較

それでは、電力と都市ガスを比較してみましょう。

エネルギー単価は、電力;9.25円/MJ、都市ガス;4.70円/MJとなります。
電力は都市ガスに比べて、4.55円/MJエネルギー単価が高く、約2.0倍になります。
ちなみに、エネルギー単価(従量料金のみ)は、電力;円/MJ、都市ガス;3.70円/MJです。
従量料金のみの場合は、電力は都市ガスの約倍です。
差額として、考えられることは2つあります。
①送電効率
投入熱量を電力に変換しようとすると必ずロスが生じます。
また、電力の変圧等の送電時にもロスが生じます。
電力の場合はその効率がかかってくるため、その分単価が高くなってしまいます。
これは、②-1の基準単価の差が該当します。
単価差でいうと3.70円/MJ分です。
②再エネ賦課金
都市ガスにはかかってこない再エネ賦課金分、電力は不利になります。
これは、②-2であり、0.93円/MJ分です。
ロス等は物理現象から仕方のないものですが、再エネ賦課金は政策からいかに単価に影響しているかがわかります。
【余談】
燃料費調整額の差は、0.03円/MJでありほとんど変わりません。
【例題】水1リットルのお湯を作るために必要な金額は?

ちょっとしたケーススタディをしてみましょう。
水の比熱;4.186kJ/kg・℃
量;1リットル = 1㎏
上昇温度;80℃ …沸騰温度;100℃ - 投入する水の温度;20℃
電気ケトル、又はやかんの有効効率;60% …試算用の仮値です。
こちらの条件から、水1リットルのお湯を作るために必要な熱量は、558kJ となります。
4.186kJ/kg・℃ × 1kg × 20℃ ÷ 0.6(=60%)
こちらの熱量から各単価をかけて金額を求めます。
今回は、従量料金のみの単価を使用して計算します。
水1リットルのお湯を作るために必要な金額は
電力;4.7円(従量料金のみ;8.37円/MJ)
ガス(都市ガス);2.1円(従量料金のみ;3.70円/MJ)
となります。
先ほどエネルギー単価で示した通り、電力の方が約2.6倍高いです。
お湯を沸かす場合には、ガスを使ってやかんで沸かした方がお得であることがわかります。
その単価差は、2.6円/回です。
1日に2回(=2リットル)を沸かすとしても、158円/月の差です。
このお湯を沸かすということに関して、個人的には、気持ち的に負担にならない方法が良いと思います。

ボイラーのことを学ぶと、このような計算をより深く理解することができるのでお勧めです。
東京電力エネルギーパートナー HP各ページ
https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/standard/kanto/index-j.html
東京ガス HP各ページ
https://home.tokyo-gas.co.jp/gas/ryokin/ippan/index.html
コメント
2022年3月の 360kWh の電気代は スタンダードS(40A)なら
INT(1144+120×19.88+180×26.46+60×30.57+1.83×360)+INT(3.36×360)= 11994
買電単価は 33.32円/kWh です。(INTは小数点切捨ての関数)
加藤様
ニュー太郎です。
貴重なご指摘ありがとうございます。
勘違いをしておりました。
記事を修正いたします。
今後は正確な記載をするように努めてまいりますので、
引き続きよろしくお願いいたします。
とても参考になりました。
ありがとうございます。
書き誤植に気がつきました。
条件枠内: 「量;1000リットル = 1㎏」
先の誤植をお知らせするコメントに誤植(変換ミス)がありました。
下記訂正させて頂きます。
書き誤植 → 下記誤植
失礼しました。
土のちり様
貴重なご指摘ありがとうございます。
条件枠内: 「量;1リットル = 1㎏」と修正させていただきました。
今後も土のちり様に参考にしていただける記事を投稿していきますので、
よろしくお願いいたします。
ニュー太郎