【わかりやすく徹底解説】地熱発電とは?(再エネの中でNo.1の安定性)Part.1

カーボンニュートラル
ニュー太郎
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今回は地熱発電に関する内容を

わかりやすく解説します。

その第1弾であり、基礎的な内容を見ていきます。


2050年カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーの電源構成比率拡大が必要です。

一般的に再生可能エネルギーというと、太陽光発電、風力発電というのがまず頭に浮かぶと思いますが、この2つは時間や天候によって発電量が大きく変動するという特徴があります。

一方で、再生可能エネルギーであり、かつ年間を通して安定して発電できるのが地熱発電です。

この地熱発電は発電の安定性からベースロード発電として位置付けられ、日本のエネルギー戦略において非常に重要です。

今回はそんなカーボンニュートラルの実現に向けた地熱発電について、基礎的な内容を解説します。

日本における地熱発電のポテンシャルを生かし、これから拡大していく・させていく、地熱発電の動向をいち早く学ぶことは、今後伸びてくる企業(メーカー)を予測することに繋がります。

日本の戦略を含めて学んでいきましょう!


この記事を読むことで、

  • 地熱発電とはなにか がわかる
  • 地熱発電の位置づけ がわかる
  • 国内の地熱資源と現状 がわかる

地熱発電 とは?

ニュー太郎
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まずは、地熱発電の仕組み他の発電と比較した特徴

について見ていきましょう。

地熱発電のしくみ

 まず、掘削して熱を取り出すものとしては温泉が身近なものですよね。

温泉は場所にもよりますが、一般的には地下数百mくらいの深さから温泉を持ってくることが多いです。

 さて、地熱発電はというと、大規模なものでは、地下1,000m~3,000m程度の地下深くにある、150℃を超える高温高圧の蒸気・熱水を利用します。

 マグマの熱で温められた、1,000℃もの高温高圧の蒸気・熱水が貯まっている地下構造を、「地熱貯留層」と言います。

 この地熱貯留層まで井戸(生産井)を掘って、蒸気・熱水を取り出し、気水分離器で蒸気と熱水に分離し蒸気でタービンを回して発電するのが、地熱発電です。

 また、熱水は、別の井戸(還元井)から、ふたたび地熱貯留層に戻します。

仕事を終えた蒸気はタービン出口の復水器で冷却され、凝縮して圧力が急減し、タービンを回す蒸気の効率を高めます。

凝縮して復水器に溜まった温水は、冷却塔を通りさらに温度が下げられ、冷却水として蒸気の凝縮に再利用されます。

このサイクルを繰り返すことで、安定的に地下から蒸気・熱水を取り出すことができるため、化石燃料のように資源が枯渇する心配がなく、計画的に使用すれば永続的な利用が可能な、再生可能エネルギー(以下、再エネ)となります

経済産業省 資源エネルギー庁 知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~地方創生にも役立つ再エネ「地熱発電」

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/chinetsuhatsuden.html

JOGMEC 地熱発電のしくみ

https://geothermal.jogmec.go.jp/information/geothermal/mechanism/mechanism2.html

二酸化炭素の排出量

 火力発電の場合、石油や石炭、天然ガス等を燃やし、燃焼ガスや水を沸騰させて作った蒸気でタービンを回して発電しますが、地熱発電では自然が生み出す蒸気を使って発電します。

そのため、地熱発電は二酸化炭素の排出量は火力発電より大幅に少なく、地球にやさしい発電方法と言えます。

JOGMEC 安定的な発電特性 クリーンエネルギー

https://geothermal.jogmec.go.jp/information/geothermal/point/point3.html

設備利用率

 風力発電や太陽光発電といった他の自然エネルギーを利用した発電方法は、発電できる時間帯が限られ、天候や季節によって発電量が大きく変動するという特性があります。

そのため、設備利用率は太陽光で約12%、風力でも約20%と低いものになっています。

それに比べて地熱発電は一年を通じて一定量を発電できるという優れた安定性を持っているため、設備利用率も83%と極めて高い水準にあり、ベースロード電源と位置づけられています

JOGMEC 安定的な発電特性 ベースロード電源の位置づけ

https://geothermal.jogmec.go.jp/information/geothermal/point/point2.html

 


地熱発電の位置づけ

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次は、地熱発電がエネルギー基本計画、グリーン成長戦略において

どのような位置づけなのか見ていきましょう。

エネルギー基本計画における位置づけ

 第6次エネルギー基本計画において、2030年度の温室効果ガス46%削減に向け電源構成として、再エネは36~38%を目指すとしています。

電気事業連合会 エネルギー基本計画って?

https://www.fepc.or.jp/sp/pikaru/basic-plan.html

 その再エネの中で、地熱発電は電源構成全体の1%を目指すとしています。

具体的には、地熱発電の発電設備容量1.5GW、年間発電量;110億kWhとなります。

1.5GWは発電設備の能力であり、110億kWhは年間の発電量です。

以下の計算で年間発電量は計算されています。

 発電設備容量;1.5GW × 利用率;84% × 年間時間;8760h/年 = 年間発電量;110億kWh

※前の資料では、利用率;83%と紹介しましたが、数値を合わせるために84%としています。

経済産業省 資源エネルギー庁 エネルギー基本計画の概要

令和3年10月

https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20211022_02.pdf

グリーン成長戦略における位置づけ

 2050年に向けて成長が期待される14の重点分野の1つ目として、洋上風力・太陽光と並んで、地熱発電が記載されています。

経済産業省 グリーン成長戦略(概要)

令和3年6月18日策定

https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/pdf/green_koho_r2.pdf
グリーン成長戦略 (抜粋)
  • 地熱発電は、発電時にCO2をほとんど発生しない再生可能エネルギーの中で、太陽光発電や風力発電等と異なり、ベースロード電源となり得る再生可能エネルギーである。
  • 2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの最大限の導入が求められる中で、安定的な再生可能エネルギーの導入に資する電源として地熱発電の推進は非常に重要である。

2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

令和3年6月18日

https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210618005/20210618005-3.pdf

国内の地熱資源と現状

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最後に、日本の地熱発電のポテンシャルと現状

見ていきましょう。

日本のポテンシャル

 日本は地熱資源量2,347万kWと世界第3位の豊富な地熱資源量を持っており、地熱発電のポテンシャルが非常に高い国です。

しかし、実際に導入されている発電設備容量は、2021年末時点で約60万kWにとどまっており、資源量に対する割合からすると、世界的に見ても少ないといえます。

経済産業省 資源エネルギー庁 もっと知りたい!エネルギー基本計画④ 再生可能エネルギー(4)豊富な資源をもとに開発が加速する地熱発電

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu04.html

日本の地熱発電所の位置

 日本の地熱発電所は、火山や地熱地域の分布から東北と九州に集中しています。

2019年度の全国の地熱発電所の発電設備容量を合計すると約54万kW、発電電力量は2,472GWh(2019年度)となっており、日本の電力需要の約0.2%を賄っています

ニュー太郎
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先ほどの2021年末では約60万kWでしたので、約2年で約6万kW増加じたことになります。

データの出典が違うので、数字が異なっています。。。

JOGMEC 日本の地熱発電

https://geothermal.jogmec.go.jp/information/plant_japan/index.html

日本の地熱発電所の代表例

八丁原発電所

 八丁原(はっちょうばる)発電所は、日本最大の地熱発電所(1・2号機合計出力110,000kW)で、昭和52年6月に1号機、平成2年6月には2号機が完成しました。

九州では、大岳発電所(出力12,500kW、昭和42年8月完成)についで2番目。全国では5番目に完成しました。

名称八丁原(はっちょうばる)発電所
所在地八丁原(はっちょうばる)発電所
認可出力1号機:55,000kW、2号機:55,000kW
蒸気部門
発電部門
九州電力株式会社
運転開始1号機:昭和52年6月24日、2号機:平成2年6月22日
発電方式1号機:ダブルフラッシュ、2号機:ダブルフラッシュ
ダブルフラッシュ方式

 蒸気と熱水の混合流体は気水分離器で1次(高圧)蒸気と熱水に分離され、

熱水はさらにフラッシャーで減圧膨張され、2次(低圧)蒸気を発生させます。

 このようにして取り出された1次蒸気と2次蒸気でタービン・発電機を駆動して発電する方法をダブルフラッシュ方式と呼びます。

JOGMEC 八丁原発電所

https://geothermal.jogmec.go.jp/information/plant_japan/010.html

松川地熱発電所

 松川(まつかわ)地熱発電所は、昭和41年10月に完成した、日本最初の地熱発電所です。

平成5年6月に22,000kWから23,500kWに出力変更しています。

名称松川(まつかわ)地熱発電所
所在地岩手県八幡平市(旧松尾村)
認可出力23,500kW
蒸気部門
発電部門
東北自然エネルギー株式会社
運転開始昭和41年10月8日
発電方式ドライスチーム
ドライスチーム方式

 蒸気井から噴出した天然の乾き蒸気でタービンをまわして発電を行う方法をドライスチーム方式と言います。

JOGMEC 松川地熱発電所

https://geothermal.jogmec.go.jp/information/plant_japan/004.html

まとめ

ニュー太郎
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最後に、本記事のまとめです。

  • 地熱発電は、地下1,000m~3,000m程度の地下深くにある、150℃を超える高温高圧の蒸気・熱水を利用し、蒸気でタービンを回して発電
  • 安定的に地下から蒸気・熱水を取り出すことができるため、化石燃料のように資源が枯渇する心配がなく、永続的な利用が可能な、再生可能エネルギー
  • 二酸化炭素の排出量は火力発電より大幅に少なく、地球にやさしい発電方法
  • 一年を通じて一定量を発電できるという優れた安定性を持っているため、ベースロード電源と位置づけ
  • 第6次エネルギー基本計画において、2030年度の電源構成として、地熱発電は1%を目指す(発電設備容量;1.5GW、年間発電量;110億kWh)
  • グリーン成長戦略において、14の重点分野の1つ目であり、安定的な再生可能エネルギーの導入に資する電源として地熱発電の推進は非常に重要
  • 日本は地熱資源量2,347万kWと世界第3位の豊富な地熱資源量を持っており、地熱発電のポテンシャルが非常に高い国だが、実際に導入されている発電設備容量は、2021年末時点で約60万kW
  • 八丁原(はっちょうばる)発電所;日本最大の地熱発電所(1・2号機合計出力110,000kW)、松川(まつかわ)地熱発電所;昭和41年10月に完成した日本最初の地熱発電所 などがある

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今後も地熱の動向からは目が離せません!

ご覧いただき、ありがとうございました。

以上、ニュー太郎でした。



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