今回は水素ステーションに関する内容を
わかりやすく解説します。
カーボンニュートラルに向けて輸送分野での取り組みも重要な位置づけになっています。
水素自動車や電気自動車の普及が進められていますが、普及の為には充填・充電設備の整備が必須になります。
今回は水素自動車の充填設備である水素ステーションに関して、カーボンニュートラルに関わりの深い業界で技術者として従事している私がわかりやすく解説します。
現状の水素ステーションの普及状況から、今後伸びてくる企業(メーカー)を予測することに繋がります。
注目の水素について、日本の戦略を含めて学んでいきましょう!
この記事を読むことで、
- 水素に関する戦略 がわかる
- 水素ステーションの基本構造(関係メーカー) がわかる
- 水素ステーションの普及状況 がわかる
水素に関する戦略
まずは、日本における水素に関する戦略を解説します。
更に、クリーンエネルギー戦略があります。
水素基本戦略
ここでは、当時の水素基本戦略の数値を記載しており、
この後の戦略で数値目標は変更になっているので注意してください!
- 2017年12月に世界初の水素に関する国家戦略を策定し、将来的な水素のコスト目標を設定
- 2050年を視野に入れたビジョン+2030年までの行動計画
- 目標:ガソリンやLNG と同程度のコストの実現(現在: 100円/Nm3 ⇒ 2030年: 30円/Nm3 ⇒ 将来(2050年): 20円/Nm3) ※このコスト目標は変わっていない。
※水素量;2030年に30→300万tへ変更、将来(2050年)に1,000→2,000万tへ変更
※発電目標;2030年の電源構成のうち、1%程度を水素・アンモニアとする数値目標追加
※水素ステーションの数値目標;900→1,000箇所へ変更
今後の水素政策の検討の進め方について 2020年11月
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギーシステム課/水素・燃料電池戦略室
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/suiso_nenryo/pdf/018_01_00.pdf
グリーン成長戦略
水素基本戦略からの変更として、
水素量が、2030年;300万t、2050年;2000万tと大幅に増加しています。
水素基本戦略からの変更として、
2030年の電源構成のうち、1%程度を水素・アンモニアとすることも変更点です。
こちらは、第6次エネルギー基本計画において設定した新たな定量目標です。
水素・アンモニアを取り巻く現状と今後の検討の方向性 令和4年3月29日
資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 資源・燃料部
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/suiso_seisaku/pdf/001_03_00.pdf
クリーンエネルギー戦略
水素(燃料転換)に関して、別記事で2回に渡って解説しています。
水素ステーションの設備構成
水素ステーションの設備構成を解説します。
水素ステーションには、
オフサイト;水素ステーション外部から水素を輸送
オンサイト;水素ステーション内部にて水素を製造
の2パターンがあります。
水素ステーションの主要設備
各設備の設備概要とメーカー例
液化水素を水素源とする水素ステーション専用装置。
運搬された液化水素を貯蔵し、オフサイト水素ステーションに送り込む。
都市ガス等から水素を製造する装置。
水素ステーション外から水素を運搬してくるオフサイト型には設置しない。
気体の水素を高圧に圧縮する装置。
700~800気圧程度まで圧縮する。
圧縮機により圧縮した水素ガスを一時的に貯蔵する容器。
水素充填時に、燃料電池自動車の水素タンクの温度上昇を抑制するため、あらかじめ水素を冷却する装置。
燃料電池自動車へ高圧水素を充填する装置。
効率良く安全に充填するため、ノズル装着後は全自動で充填を行う。
今後の水素ステーション政策の方向性について 2021年8月27日
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギーシステム課/水素・燃料電池戦略室
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/suiso_nenryo/pdf/027_02_00.pdf
水素ステーションの普及
水素ステーションの普及状況を解説します。
普及の目標値
目標値は、2030年までに水素ステーションを1,000基整備することです。
もう少し加えると、グリーン成長戦略において
「燃料電池自動車・燃料電池バス及び燃料電池トラックの普及を見据え、
2030 年までに 1,000 基程度の水素ステーションについて、
人流・物流を考慮しながら最適な配置となるよう整備する。
バスやトラックなど商用車向けの水素ステーションについては、
事業所専用の充填設備も含め、整備を推進する。」
と記載させています。
2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 令和3年6月 18 日
内閣官房、経済産業省 他
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210618005/20210618005-3.pdf
水素ステーションの普及状況
水素供給設備(水素ステーション)は、「首都圏」「中京圏」「関西圏」「九州圏」の
四大都市圏と、四大都市圏を結ぶ幹線沿いを中心に整備が進められています。
2022年5月時点で、161箇所で運用されています。
一般社団法人 次世代自動車振興センター 水素ステーション整備状況
http://www.cev-pc.or.jp/suiso_station/
目標;1,000箇所に対して、現時点で161箇所ですので、
進捗率は16%です。
まだまだこれからですので、
水素ステーションに関係するメーカーはチャンスかもしれませんね!
まとめ
最後に、本記事のまとめです。
- コスト目標 現在: 100円/Nm3 ⇒ 2030年: 30円/Nm3 ⇒ 将来(2050年): 20円/Nm3
- 水素量目標 2030年;300万t、2050年;2000万t
- 水素ステーションには、オフサイト;水素ステーション外部から水素を輸送、オンサイト;水素ステーション内部にて水素を製造 の2パターンある。
- 水素ステーションの設備構成は、液水対応設備又は水素製造装置、圧縮機、蓄圧器、プレクーラー、ディスペンサ
- 水素ステーションの目標値は、2030年までに1,000基整備
- 2022年5月時点で、水素ステーションは161箇所で運用中(進捗率は16%)
今後も水素供給の動向からは目が離せません!
ご覧いただき、ありがとうございました。
以上、ニュー太郎でした。
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