【わかりやすく徹底解説】「CCS」「CCUS」とは?(CO2を回収して大気には出さない!)Part.1

カーボンニュートラル
ニュー太郎
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今回は「CCU」、「CCUS」に関する内容を

わかりやすく解説します。

その第1弾です。


 2050年カーボンニュートラルに向けて、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギー、原子力、水素・アンモニアへの燃料転換といった非化石電源の拡大が必要です。

但し、どうして化石燃料を使用しなければならない、又は総合的な評価で化石燃料を使用した方がよい場合もあります

そうした場合には、火力発電所の脱炭素化のためにCCUSの活用が必要不可欠です。

今回は「CCS」、「CCUS」といった用語の説明から、日本の位置づけやロードマップ(具体的な取り組み)を解説します。

法整備や技術的にまだまだこれからの部分が多いので、CCUSの動向をいち早く学ぶことは、今後伸びてくる企業(メーカー)を予測することに繋がります。

日本の戦略を含めて学んでいきましょう!


この記事を読むことで、

  • 「CCS」「CCUS」 がわかる
  • CCUSの位置づけとポテンシャル がわかる
  • CCS長期ロードマップ がわかる

「CCS」「CCUS」とは?

ニュー太郎
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まずは用語から見ていきましょう。

「CCS」とは?

 「CCS」とは、「二酸化炭素回収・貯留」技術のことです。

Carbon dioxide Capture and Storage」の略です。

発電所や化学工場などから排出されたCO2を、ほかの気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入するというものです。


「CCUS」とは?

 「CCUS」は、「二酸化炭素回収・利用と貯蔵」技術のことです。

Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略です。

たとえば米国では、CO2を古い油田に注入することで、油田に残った原油を圧力で押し出しつつ、CO2を地中に貯留するというCCUSがおこなわれており、全体ではCO2削減が実現できるほか、石油の増産にもつながるとして、ビジネスになっています。


CCS、CCUSの目的

 地球温暖化の原因のひとつとなるといわれる二酸化炭素(CO2)。

その削減は、世界的にも重要な課題となっています。

石油や石炭など「化石燃料」と呼ばれる燃料をエネルギーとして使う火力発電では、このCO2が多く排出されてしまいます。

しかしながら、火力発電は、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーのように天候に左右されず、エネルギーの安定的な供給をおこなうため必要な電源(電気をつくる方法)です。

そこで、火力発電のCO2排出量をおさえる(低炭素化)ため、さまざまな取り組みがなされおり、「CCS」「CCUS」はその取り組みのひとつです。


知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」

経済産業省 資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ccus.html


CCUSの位置づけとポテンシャル

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日本において、第6次エネルギー基本計画におけるCCUSの位置づけと、

どれだけの可能性(ポテンシャル)があるか見ていきましょう。

2050年カーボンニュートラルに向けたCCUSの位置づけ

 社会全体としてカーボンニュートラルを実現するには、非電力分野、電力分野で取り組みが必要です。

非電力分野(産業・民生・運輸)の燃料利用・熱利用
  • 脱炭素化された電力による電化
  • 水素化
  • メタネーション、合成燃料化
  • バイオマス化

を通じた脱炭素化を進めることが必要です。

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【用語の解説】

 産業;人が生活に必要なモノ・サービスを生産する営みのこと

 民生;国民の生活・生計のこと

 運輸;人や貨物を運ぶこと

電力部門
  • 太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーの拡大
  • 原子力発電の再稼働、新設
  • 火力発電の水素・アンモニアへの燃料転換

を通じた非化石電源の拡大が必要です。

更に、

  • 火力発電とCCUSの統合

が必要不可欠です。

 2050年のカーボンニュートラルに向けて、火力発電所の脱炭素化のため、CCUSの活用が必要不可欠です。

また、電化や水素化等で脱炭素化できず、CO2の排出が避けられない分野においても、CCUS等を最大限活用する必要があります。


CCSのポテンシャル

 IEA試算による2050年時点の世界のCO2回収量から、CO2回収量の95%が地価の地層中に貯蔵されると仮定すると、年間約36~72億tのCCSが必要です。

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【用語の解説】

 IEA(International Energy Agency);国際エネルギー機関。

  現在の加盟国は、日本、豪州、英国、米国などの30ヵ国。

  エネルギー安全保障の確保(Energy Security)、経済成長(Economic Development)、環境保護(Environmental Awareness)、世界的なエンゲージメント(Engagement Worldwide)の「4つのE」を目標に掲げ、エネルギー政策全般をカバーしている。

この試算に、日本のCO2排出量割合(3.3%)をかけると、2050年時点の日本のCCSは年間約1.2~2.4億tが必要と推計されます。


 2030年にCCSを導入する場合、2050年までの20年間で、毎年12本~24本ずつ圧入井を増やす必要があります。(約1,000万t/本)

 事業者へのヒアリングによれば、仮に2030年までにCCS事業を開始するためには、建設期間が約4年かかることを勘案すると、

2030年中にCCS事業を開始するためには、2023年度からFS等を開始し、2026年度までに最終投資判断する必要があります。

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【用語の解説】

 FS(Feasibility Study);事業可能性の検証


CCS長期ロードマップ

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CCUのロードマップを見ていきましょう。

概要

CCS長期ロードマップ 中間とりまとめ 基本理念

 CCSを計画的かつ合理的に実施することで、社会コストを最小限にしつつ、我が国のCCS事業の健全な発展を図り、もって我が国の経済及び産業の発展やエネルギーの安定供給確保に寄与することを目的とする。

CCS長期ロードマップ 中間とりまとめ 考え方

 CCS実施に向けては、2050年におけるCCSの想定年間貯留量からバックキャストし、2030年までの操業開始のため、計画的かつエネルギーミックスの状況や他の脱炭素技術の実用化状況を踏まえた合理的な実施とする必要がある。

 それにより、CCS実施による社会コストを最小限にし、CCS事業の健全な発展と素材産業や石油精製産業といった電化や水素化等で脱炭素化できずCO2の排出が避けられない分野の発展や、3E+Sを実現するエネルギーの安定供給確保を図っていくことを示したものである。


CCS長期ロードマップ 中間とりまとめ スケジュール

 基本理念、考え方やポテンシャルに基づき、今後実施すべき具体的アクションは①~⑤のとおり。アクションのスケジュール感はこちら。




具体的アクション

①CCS事業実施のための国内法整備に向けた検討

 2022年内にCCS事業に関する法整備に向けた論点を整理する。

その上で、2030年までのCCS事業開始に向け、早期にCCS事業に関する法整備を行う。

現行の法制度の主な課題
  • 事業者がCCSで地下を利用する権利の設定
  • 事業者が負う法的責任の明確化
  • 我が国の貯留層の適正な管理
  • CO2の海外輸出に係るロンドン議定書の担保

②CCSコストの低減に向けた取組

 研究開発や実証等を引き続き実施し、分離・回収、輸送・貯留というCCSバリューチェーン全体でコストを低減する。

官民で将来目指すべきコスト目標を議論、設定し、これら取組に反映する。

プロセス課題研究開発要素取組
分離・回収• 設備・運転コスト
• 所要エネルギーの削減
• 環境影響評価
• 新しい材料(吸収材、吸着材分離膜)の開発
• 基材の製造コストの低減
• プロセスの最適化
• 低コスト型分離回収技術の開発
輸送• 長距離(200km以上)輸送のコスト(より安価かつ大容量な船舶輸送の実現)• -50℃、0.9MPa付近の低温・低圧下での液化CO2の管理技術• 液化CO2船舶輸送技術の研究開発・実証
貯留• モニタリングコスト削減
• 設備費・保守費抑制
• 安全性向上
• 光ファイバーによる監視・計測技術
• 海底下CO2モニタリング技術
• 洋上圧入技術 など
• 海外機関との連携による大規模実証検証(予定)
• CO2圧入技術の研究開発・実証

③CCS事業への政府支援の在り方の検討

 事業者と連携し、国が積極的にCCSの適地調査を実施するとともに、既存のデータを含め、国が保有する評価データを開示する。

 先進的なCCS事業について、欧米などCCS先進国で措置しているような分離・回収、輸送・貯留というCCSバリューチェーン全体の建設段階及び操業段階を全面的に支援する補助制度も参考にしつつ、我が国政府による政府支援の在り方を検討する。なお、同事業は事業者が主導する。

 今後、商業化の段階等を踏まえ、米国等における支援措置も参考にしつつ、更なる政府支援の在り方も柔軟に検討する。


④CCS事業に対する国民理解の増進

 2050年カーボンニュートラルという野心的な目標の実現を目指し、あらゆる可能性を排除せず、使える技術は全て使うとの発想に立ち、国や地方自治体、企業等が一体となり、2050年CNに向けたCCSの必要性を国民へ発信し、CCUS実施による自治体への経済波及効果等を示しつつ、国民やCCS実施地域の住民等の理解増進を図る。


⑤海外CCS事業の推進

 化石燃料に依存するアジア等新興国のCNに向け、「アジアCCUSネットワーク」を通じた知見共有、海外CCS事業へのリスクマネー供給、JCMにおけるCCSクレジットのルールメイキング等により支援する。

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JCM(Joint Crediting Mechanism);途上国等への優れた脱炭素技術・製品・システム・サービス・インフラ等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価し、我が国の削減目標の達成に活用するため、二国間クレジット制度のこと。


 国内で発生したCO2を海外に輸送・貯留するための仕組みを今後整備するCCS国内法に盛り込む。


CCS長期ロードマップ検討会 中間とりまとめ 令和4年5月

https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/ccs_choki_roadmap/pdf/20220527_1.pdf

CCS長期ロードマップ検討会 中間とりまとめ 参考資料 令和4年5月

https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/ccs_choki_roadmap/pdf/20220527_2.pdf

まとめ

ニュー太郎
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最後に、本記事のまとめです。

  • 「CCS」とは、「二酸化炭素回収・貯留」技術、「CCUS」は、「二酸化炭素回収・利用と貯蔵」技術のこと。
  • 火力発電のCO2排出量をおさえる(低炭素化)ため、さまざまな取り組みがなされおり、「CCS」「CCUS」はその取り組みのひとつ
  • 2050年のカーボンニュートラルに向けて、火力発電所の脱炭素化のため、CCUSの活用が必要不可欠。また、電化や水素化等で脱炭素化できず、CO2の排出が避けられない分野においても、CCUS等を最大限活用する必要がある。
  • 2050年時点の日本のCCSは年間約1.2~2.4億tが必要
  • 2030年中にCCS事業を開始するためには、2023年度からFS等を開始し、2026年度までに最終投資判断する必要
  • CCS長期ロードマップ 中間とりまとめの基本理念は、社会コストを最小限にしつつ、我が国のCCS事業の健全な発展を図り、もって我が国の経済及び産業の発展やエネルギーの安定供給確保に寄与すること
  • 具体的アクション

  ①CCS事業実施のための国内法整備に向けた検討

  ②CCSコストの低減に向けた取組

  ③CCS事業への政府支援の在り方の検討

  ④CCS事業に対する国民理解の増進

  ⑤海外CCS事業の推進


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今後もCCUSの動向からは目が離せません!

ご覧いただき、ありがとうございました。

以上、ニュー太郎でした。



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