そもそも2030年のエネルギー戦略ってなに?
2015年(平成27年)に策定されたエネルギー戦略を見直し、2050年カーボンニュートラルを見据えた2030年のエネルギー戦略です。
新たな2030年度におけるエネルギー需給の見通しは、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減すること目標として、更に50%削減を目指しています。
徹底した省エネルギーや非化石エネルギーの拡大を進める上での需給両面における様々な課題の克服を野心的に想定した場合に、どのようなエネルギー需給の見通しとなるかを示すものです。
野心的ってどういうこと?
辞書によると、
〘形動〙 考えや計画などの、身分不相応なまでに大きなさまや新しく大胆であるさま。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
となっています。
実現は難しいと思っているのでは?と感じてしまいますね。
需給両面について、見ていきましょう。
2030年のエネルギー需要(省エネルギー)
2030年度の省エネ量の推計としては、2015年策定時のエネルギーミックスにおいて積み上げられている省エネ対策を土台として、2019年度までの各対策の進捗を踏まえ、野心的に見直しを行っています。
その結果、2015年策定時に対して、1200万kL程度の省エネルギー量の増加と試算しています。
余談ですが、エネルギー使用量(省エネルギー量) は原油換算してkLの単位で示します。
エネルギー使用量(省エネルギー量)の算出方法
まずは、年度間の合計使用熱量[GJ(ギガジュール)]を求めます。
合計使用熱量[GJ(ギガジュール)]に0.0258(原油換算係数[kL/GJ])を乗じて、1年間のエネルギー使用量(原油換算値)を算出します。
最も増加が大きいのが運輸部門です。
自動車の低燃費化というのがまず頭に浮かぶと思いますが、この部分の増加は700万kLの内、50万kL程度です。
運輸部門で最も省エネルギー量増加が大きいのはトラック輸送の効率化で、380万kL程度の増加となっています。
これは「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金(トラック輸送の省エネ化推進事業)」等の施策で推進を後押ししています。
内容としては、「車両動態管理システムの導入」、「予約受付システム等の導入」、「配車計画システムの導入」、「AI・IoTによるシステム連係ツールの導入」となっています。
AI・IoT を活用した省エネルギー化はどんどん増やしていかないといけませんね。
2030年の エネルギー供給(再生可能エネルギー)
2030年度の再生可能エネルギーの見直しは、下記で見直しがされています。
2030年度再エネ導入量
=①これまでの導入量+②既認定未稼働分の稼働+③今後の新規認定分の稼働
③今後の新規認定分については、野心的水準での導入見込量を合計3,360~3,530億kWh程度(電源構成では36~38%)の再エネ導入を目指すとしています。
増加しているのは、太陽光発電と、陸上・洋上風力発電です。 順番に見ていきましょう。
太陽光発電は、①現時点導入量56GW+②FIT既認定未稼働量18GW=(①+②)74GWとなっており、2015年策定の64GWは既に達成しています。
ここから、政策対応を強化して更に30GWを増加を見込んでいます。
風力発電は、 ①現時点導入量4.21GW(陸上4.2GW、洋上0.01GW)+②FIT既認定未稼働量 5.5GW(陸上4.8GW、洋上0.7GW) =(①+②)9.71GWとなっており、2015年策定の 10.0GW(陸上9.2GW、洋上0.8GW) に対しては、既に達成目前の状態です。
今後の増加には設置場所選定に課題があり、導入までに環境アセスメントが必要になり時間を要することも2030年の数値が伸びない要因です。
ここの制度見直しも必要になってきますね。
資源エネルギー庁 エネルギー基本計画について
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/
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