今回は[カーボンニュートラル]水素社会入門 の本を解説していきます。
この本を手に取ったきっかけ
ます、この本を手に取ったきっかけですが、ひらめきブックレビュー(2021年12月号)で紹介されていたからです。
企画・制作:日本経済新聞社 デジタル事業 メディアビジネスユニット/メディアビジネス コンテンツユニットという、信頼できるひらめきブックレビューの2021年12月号で良書6選として紹介されていました。
カーボンニュートラルと書いてあるのであれば読むしかないと思ったのがきっかけです。
感想とおススメの人
おススメできる本なの?
記事を書いている時点でお分かりだと思いますが、おススメです!
一言でいうと、わかりやすくて読みやすい です。
【感想】
〇;良い点、△;いまいちな点、×;悪い点
〇用語の解説などが都度入っており、説明が丁寧でわかりやすい
〇ほぼ文字のみだが、イメージがしづらい箇所には図解が入っている
〇カーボンニュートラルに向けた水素以外の選択肢(例えば、エネルギー保存のための蓄電器、揚水発電等)も考えつつ、水素の優位性を解説している
△著者が水素貯蔵合金について研究をされていたので、その内容と優位性を示すことが多い(若干内容に偏りがあるように感じました)
△内容は広く浅い(入門書なので仕方がありませんが)
×一点誤記あり;P.98 2行目 誤;売価は2円… 正;売価は20円(/kwh)
4時間程度で読むことができるボリュームです。
【おススメの人】
・カーボンニュートラルに向けた企業の取り組みを知りたい人
(就職・転職、株式投資等の選択の参考にしたい人)
・水素の可能性に興味のある人
・地域で取り組んでいる水素社会への実証実験の内容をよく知らない人
(神奈川県、北海道、山口県、宮城県、秋田県、兵庫県の方)
内容紹介(抜粋)
私が重要だと感じた内容を抜粋してご紹介します。
水素の特徴(P.21)
(1)環境に有害な物質を出さない
(2)様々な一次エネルギーから容易に製造できる
(3)様々な容態のエネルギーへ高効率で変換できる
(4)大量貯槽から少量貯槽まで可能
(5)短距離輸送から長距離輸送まで可能
水素は(1)の理由により注目されていますが、(2)~(5)の特徴にも注目
水素のデメリット(P.71)
・常温で気体であるため、体積が大きい
→このデメリットがあるため、水素をどのように輸送するかの話につながります
・わずかな隙間から漏れて上方に拡散し、消えてなくなってしまう
水素の安全性(P.130)
・燃えやすいので危険性あり
・気体が軽いので、漏洩時でも上部へ拡散するため、地上部で滞留することがない
→一定時間後の爆発の危険性は低い
・MIRAI(燃料電池車)やエネファームなどは十分は安全基準を満たしている
→事故事例の報告なし
水素利用のメリット(P.132)
・供給の不安定性という自然エネルギーのデメリットを水素がカバーすることで、風力発電・太陽光発電の普及を促進可能
・離島でも自然エネルギーのデメリットを水素がカバー、かつ飲料として使用できる水の製造が可能
・電気の価格が高いところに水素を活用することで、価格の平準化が可能
・人口が少なく電力使用が少ない広大な土地で水素を製造して運ぶことで、未利用の資源活用が可能
・BCP(事業継続活動;Business Continuily Plan)の為のエネルギーとして水素は貯蔵が可能
水素の課題(P.140)
・グリーン水素の比率増加(現状は低い)
・ブルー水素のCCS、CCUSの方法(地中圧入には限界あり)
・グローバル規模で可能になったエネルギー調達の仕組みのサプライチェーン構築方法
・水素の価格(現状は高い)
具体的な企業の取り組み
最後に、本書で取り上げられていた取り組みと具体的な企業・大学名を紹介します。
分類 | 取り組み | 企業名・大学名 |
---|---|---|
ブルー | オーストラリアの褐炭から水素製造 | 川崎重工、岩谷産業、シェルジャパン、電源開発 |
ブルー | ブルネイの天然ガスから水素製造 | 千代田化工 |
グリーン | 太陽光のエネルギーを直接MCHにする方法 | 千代田化工、ENEOS、東京大学、クイーンズランド工科大学 |
ブルー | サウジアラビアのアンモニア製造 | ー |
ブルー | 水素スマートシティ神戸構想 | 川崎重工、大林組 |
分類についての詳細は、別記事を見ていただければと思います。
紹介されている中で唯一のグリーン水素活用案である「 太陽光のエネルギーを直接MCHにする方法 」について私は非常に興味を持ちました。
今後は企業のHPなどを見ていきたいと思っています。
最後に、今回紹介した本はこちらです。
今後のカーボンニュートラルに向けた水素社会を知る上で、入門書として非常に優れた本だと思います。
既に動き出している水素社会への取り組みを広く知ることができるおススメの本です。
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